ファクタリングのノンリコースとリコースの違いを理解して選ぼう

ノンリコースとリコースのファクタリングの違い
目次
ノンリコースとリコースのファクタリングの違い
ファクタリングのノンリコースとリコースの違いを理解するには、まず、リコースとは何かを知ることが必要です。
リコースとは償還請求権のことで、ファクタリング会社が売掛金の回収ができない場合に、売掛金を譲渡した企業に請求する権利が発生する方式の取引です。
これに対してノンリコースは償還請求権がありません。
万が一、売掛先が倒産して、ファクタリング会社が売掛金を回収できなくなってしまったとしても、売掛金を譲渡した企業は売掛金を支払う責任を負いません。
回収不能のリスクをファクタリング会社が負うことになります。
そのため、リスクを抑えてファクタリングを利用したいなら、ノンリコースのほうが安心です。
リコース契約の特徴とリスク
ノンリコースのほうが安心な理由は、リコース契約はファクタリングを依頼する企業にとってリスクが大きいからです。
ファクタリングによって売掛金の支払期日を待たずに現金化ができますが、売掛先の経営状況が悪化した場合や倒産するなどして支払いを受けられない場合には、依頼した企業が売掛金をファクタリング会社に支払わなくてはなりません。
たとえば、A社がB社に対する売掛金100万円について手数料10%の10万円を控除され、ファクタリング会社から90万円を支払期日より2ヶ月早く受け取ったとしましょう。
2ヶ月後にB社から100万円が支払われれば、問題ありませんが、資金繰りの悪化などで支払いが受けられない場合、 A社がファクタリング会社に100万円を支払わなくてはなりません。
2ヶ月早く90万円を受け取れて資金繰りが良くなった場合や運用できたメリットはあっても、B社の不払いにより、100万円の支払いが発生します。
受け取った金額より10万円の持ち出しが発生してしまうのです。
2ヶ月にわたって90万円を使えたわけだし、期日まで待ってもどうせB社から支払いを受けられなかったのだから、仕方ないと思われるかもしれません。
ですが、この時点でA社も資金繰りが悪化し、90万円も使い果たしていれば、ファクタリング会社に支払えなくなり、倒産のリスクがあります。
つまり、B社の不払いでA社も連鎖倒産する事態にもなりかねません。
リコース契約のファクタリングは、事実上は手数料分を利息として前払いする形の融資契約となります。
そのため、ファクタリング会社は貸金業登録を受けていなくてはなりません。
リスクの大きさや貸金業登録の必要性などから、日本ではリコース契約のファクタリングはあまり利用されていません。
ノンリコース契約の特徴とメリット
ノンリコースのファクタリングは、売掛先が倒産するなどしてファクタリング会社が売掛金を回収できなくなても、依頼した企業が支払いリスクを負うことはありません。
ファクタリング会社がリスクを負うため、ファクタリングの申し込みをした場合の審査は厳しくなり、手数料もリコースの場合に比べて高めに設定されるのが一般的です。
審査にあたっては売掛先の経営状況など信用力を綿密に調べるので、売掛先の経営状態がすでに悪化している場合などは審査に通らず、ファクタリングが利用できない場合もあります。
審査が通っても、売掛先の信用力が小さく、回収不能リスクが高いほど手数料率は高くなります。
リコースとノンリコースのいずれを選ぶべき?
日本でファクタリング会社というと、ノンリコースのファクタリングを提供する会社が多く、依頼する企業もノンリコースを選ぶ傾向があります。
では、いずれかを選べるとしたら、やはり、ノンリコースが有利でしょうか。
リコースはノンリコースより手数料が安いのはメリットですが、債権譲渡後も、売掛先の経営不安がついて回ります。
せっかく、現金を手に入れても、怖くて使えなくなるかもしれません。
ノンリコースはリコースに比べれば手数料は高く、審査も厳しいですが、審査に通れば、その後に売掛先が厳しい状況になっても、支払い義務を負わずに済みます。
その分、早期に現金化した買取代金を有効活用しやすいのもメリットです。
まとめ
リコースとは償還請求権のことを意味します。
ファクタリングにおいてリコース契約を結んだ場合は、万が一、売掛先が支払いできなくなれば、ファクタリングを依頼した企業がファクタリング会社に売掛金額の支払いを行う必要があります。
その分、手数料は安く済むものの、依頼後も売掛先の経営状況に左右され、万が一、自社の資金繰りも悪くなっている場合、共倒れにもなりかねません。
これに対してノンリコースは、売掛金の不払いリスクはファクタリング会社に移転できます。
その分、申込時の審査が厳しく、売掛先の信用状態が既に悪化している場合などは利用できないこともあるので注意が必要です。
また、ファクタリング会社が売掛金の回収不能リスクを負う分、手数料率も高くなります。
その分、依頼後は売掛先の経営不安からも解消され、受け取った買取代金を自由に活用できます。